「大泉 マーケットと長屋店舗を訪ねて」散策会レポート



◆Vol.3 「大泉 マーケットと長屋店舗を訪ねて」 (2015/4/11) レポート◆


※仮版です。あとで文体など変えるかもしれません。


 近年、東京ではマーケット(市場)型店舗の取り壊しや公設市場の閉鎖が相次いでおり、今のうちに少しでもそれらを見ておきたいということから、特に小売市場の建物が多く残る大泉で散策会をひらく運びとなった。


 この散策会は完全自主開催ということで宣伝力がまるでない私ではどうなることかと思ったものの、参加者4名で何とかスタート。4月11日の東京地方は雨が心配されたが、午後は降雨もなく曇天とはいえ涼しい散歩日和となった。

 

 大泉学園駅は東京アニメゲートというモニュメントおよび北口デッキが完成したばかりで、見物人もかなり見られた。そこから階段を降りて商店街へ出ると、1軒目の市場型建物である永樂ストアーがある。今回唯一、まともに全体が営業している。いつ見てもそこそこの買い物客が集まる店舗で、売り声も響き渡っている。二階がゲームセンターというのは珍しく、惜しくも閉店しているが狭い入口階段と看板は健在。市場型建物は二階とは外階段でつながる場合がほとんどである。



小学校脇の加藤隆太郎像・北野神社を経て、西側の住宅地へ出る。このあたりはやや古い街で、広い道路もなく静かだ。白子川と暗渠化されている大泉堀の合流点へ寄り道。雨の後ではあったが水量はさほどでもない。参加者から「白子」の由来の話が出るなど、川を経由した甲斐があった。


 都区内で唯一残る牧場・小泉牧場の裏から牛舎を眺め、川を渡って2軒目の西武名店ストアーへ出る。建物上部の立体文字が半分以上外れてしまっているのも、もはや味わい。テントなどに生鮮食品を売っていた形跡はあるが、すでにほとんどの店はなくなっていて内部通路も閉鎖されてしまった。外から出入りするクリーニング店だけは客も多いようだ。寂れた商店街でもクリーニング店は潰れにくい。二階はアパート的な造りだが板で封鎖済み。


 わずかに桜の残る並木通りを北上し、北園交差点から3軒目の大一ショッピングセンターへ。ここは一階はすべて閉鎖、二階で学習塾のみ営業されている。広い駐車場と倉庫を備えた建物は立派で、前後と横に通路出入口があり、外装はタイル装飾が施されている。


 参加者に配ろうと近隣で「練馬大根最中」を買うついでに店のおかみさんに聞いたところ、この道にはもともとは賑やかな商店街的な並びがあり、それだけ賑わっていたからこそここに店を出したとのことだった。現在はど真ん中が一般住宅とゴルフセンターで分断されているし、店舗数も10軒もないだろう。その向かいの青果店では、一度はやめようと思ったがお得意のおばあさんが花を置いてほしい・保存の効く食品を置いたらどうかと要望や助言をくださったので今も(よろず屋のような佇まいで)店を続けられている、とのこと。実際のところ、多摩地域の住宅街にはよろず屋がいまも多い。


 裏道から関越道下へと出て、ふたたび桜並木の大泉学園通りへ。それと交差する古い道筋の近くに4軒目の丸光の建物がある。すでに店は年度末に閉鎖され取り壊しを待つ状態だが、奥に長く二階が外階段で繋がった住居となっている典型的な市場型建物である。ただし長いことそのような形式で使われたわけではなさそうで、表から見るとひとつだけの店の名前の書かれたテントが端から端を占め、裏は別の2軒分の店舗スペースになっている。


 この旧道北側には唐突に飲食店街がある。駅前でない箇所にも時折こうした区画があることは稀にあるが、二十三区内ではより珍しい。スナックや居酒屋、中華食堂などが10軒ほど並んでいる。路地を挟んで外観が統一された建物だから、後年できたものだろう。このあたりはまだ畑も多く、その土地を一部削ったのだろうか。


 まっすぐな道路で区切られた大泉風致地区に入ってすぐ、5軒目の丸善は惜しくも取り壊し中(上の写真は過去のもの)。私は以前に中を覗いたことがあるが、この通りのマーケットの中では比較的営業店舗が多かっただけに残念である。


 横道に入り、スーパーマルヒロ跡の建物を鑑賞。おそらく個人経営のスーパーだったと思われるが、看板に「マルちゃん」「ヒロぼう」のキャラクターが描かれているのは遊び心が感じられて楽しい。

 都民農園交差点付近には6軒目の三共ストアーと長屋式の店舗2棟がある。三共ストアーは生花店しか営業していないが、中は小売市場時代の什器がそのままであるのを遠目に鑑賞。横の長屋式の店舗はだいたいが飲食店として使われているか、使われていたと思われる。


 方向を変えて西へと進み、いったん大泉公園(旧都民農園)で休憩。先ほどの練馬大根最中もいただく。公園にこのあたりの地誌が書かれた碑があったのは発見だった。あとで詳しく調べてみたい。

 ここから新座市に入るが、まっすぐな風致地区の町並みは東京側と一体化されている。現在の区画に関係なく都県界がギザギサしているのは昔の土地境界の名残だろうが、建物も界を跨がないように建てられているものが多いのは面白い。やはり二都県に跨るといろいろと面倒なのだろうか。


 栄五丁目商店会内のいくつかの長屋式建物を鑑賞。住宅地の中に突然ある商店街だが、さほど集積性はない。このあたりだとどこに店舗があってもあまり立地に差がないのか、他にもいろいろな箇所にぽつぽつと店がある。新座側の北から四本目の街路である四条通りを東に戻って、四条名店会という商店街に出る。


 商店街の横道にある小さなアーケードの精肉店でコロッケ(60円)を私が勝手に注文。すぐ揚げてくれた上、皿に持ってソースとティッシュを添えてくれたあたたかいお店。5-6軒ほどだけのアーケードで片側にしか営業店舗がないが、閉鎖された側には机と椅子と婦人誌が置かれていた。小さなコミュニティスペースである。生活向けの商店街らしさが滾々と受け継がれている気がした。


 商店街内の市営休憩スペースになっている白い建物が、この日最後の市場型店舗・天沼マーケット新館である。新館というくらいで、一応ビルのような感じの造りだ。しかし入居していた精肉店が昨年で撤退、路面店はなくなってしまった。バス停の名前にもなっている点で珍しいマーケットだが、寂しい限りである。商店街そのものは昭和の雰囲気が感じられ、悪くない風景だ。

 ふたたび大泉学園通り(新座側には桜並木はない!)に戻ってきたところで、今回の歩行の終点・都民農園セコニックバス停となる。ここまで歩くとどこかの駅へ出るには3キロほどあるため、やむなく駅ではない終点とした(次回からは駅から駅にしたい) 。バスが活用されているのも大泉の生活風景のひとつである。決して超高級住宅地のような自動車一辺倒ではない。

 他人の生活の場に浸かりに行くというのは<旅や散策のいちばん手軽な楽しみ方だと思う。今回はそれが実践できたということで、まずは良しとしたい。参加していただいた方々、ありがとうございました。


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